この記事を読むのに必要な時間はです。
中国人のAさんは留学生として初来日して、そのまま就労してからだいぶ経っています。
ふと母国で暮らす親御さんを思い、こうつぶやいた。
「仙台でお母さんと一緒に住みたい。大丈夫かな?」
Contents
そもそも親御さんを呼べるのか?
外国人の方が日本に在留しているってことは、何かしらのビザ(在留資格)が付与されているってことです。
コレって、入管行政においてはイロハのイ。
超重要なこと。
例えば…
- 宮城県の観光→「短期滞在」
- 大崎市にある設計事務所でデスクワークの仕事→「技術・人文知識・国際業務」
- 仙台にあるインドカレー屋さんのコック→「技能」
- 仙台にある専門学校の留学生→「留学」
- 石巻にある貿易会社の社長→「経営・管理」
- 白石市在住で日本人の旦那さん(奥さん)→「日本人の配偶者等」
- 仙台・宮城に長く住んでいる方→「永住者」
このように日本での活動に対応して、在留資格が決まる制度。
逆に言えば、
じゃ、長期で在留できる、つまり日本に住んでいる子どもが親御さんを扶養することを前提とした在留資格はあるのでしょうか?
在留資格「家族滞在」があるじゃないか!
さくちゃん先生、「家族滞在」ビザを忘れてんじゃないの!
就労されている方だけじゃなく、留学生の方もご自身の配偶者やお子さんを本国から呼び寄せて、一緒に生活されていますね~。
- 「呼べるんじゃねーか(*^^*)」
- よっしゃ、呼び寄せ手続きすっぺ~。
- 仙台入管に申請だぁい!
- 在留資格認定証明書が交付。母国の親御さんに送ってあげる。
- 在外公館(大使館・領事館)で査証申請→日本に入国
- 孫とも暮らせるし、よかったよかった(*´﹃`*)
ちょっと待って下さい。
周りにいる外国人のお友だちや知り合いに親御さんを呼び寄せできた方はいらっしゃいますか?
「そう言えば…。奥さんはいるけど、親はいないかも…」
なんでだ???(WHY??)
在留資格「家族滞在」について、少し見てみましょう。
※法務省HPより引用。
「技術」「人文知識・国際業務」「投資・経営」のままですが…
外国人の方が,「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「投資・経営」,「法律・会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」,「技術」,「人文知識・国際業務」,「企業内転勤」,「興行」,「技能」,「文化活動」,「留学」のいずれかの在留資格をもって在留する方の扶養を受ける場合(配偶者又は子に限る。)
配偶者又は子に限る?
あれ?
親が入ってない…。
在留資格の該当性がないので「家族滞在」では呼べないってこと?
キモいんですけど…
じゃ、どうしたら呼べる?
親御さんが日本へ呼び寄せるとしたら、何の在留資格があるのか。
それは在留資格「特定活動」
留学生の方が卒業後に引き続き就職活動をする時に付与されるビザでは?(コッチに逃げよう…)
同じ「特定活動」だけど、中身がちょっと違うのよね。
呼び寄せることが難しい理由
年齢の問題
概ね65歳以上じゃないと、許可が出にくいようです。
ただ、最近60歳を過ぎても元気ハツラツ(?)な方も多くないですか?
食生活の改善や医療技術の発達もあると思いますが、気持ちが若いってのも大きな理由でしょう。
日本の年金制度でも年金支給開始年齢が段階的に引き上げられています。
年金もらわず、もっと働け
ってのも、あるんでしょうね。
何が何でも現役ってことにしとおけば、年金支給年齢も引き上げられるのかな。
日本では高齢者が増えたら財政的にもヤバいので、こういったことはやむを得ないことなのかもしれません。
んんん??
ってことは、そのまま外国人の親御さんにも当てはめたら、65歳でもお年寄りとは判断されず、
母国でまだ働けんじゃね?
なんてことに。
概ね70歳でもおかしくないかもしれませんし、個別具体的に審査されるのでイイともダメとも言えないところです。
ひとりぼっちではない
母国で身寄りがないなら、日本にいる息子(娘)さんのお世話になって生活するのはおかしくないのですが…
- 身体は元気
- 配偶者がいる
- 子どももいる
呼ぶ理由がないです。
「呼ぶ理由がない?おかしいじゃん。親と一緒に住んで何が悪いのよ」
日本人の方が親御さんと同居するのは普通だし、おかしくない。
ただ、外国人親の呼び寄せとなると、必要性が重要視されるんですね。
- 身体は元気→ひとりで生活できるじゃん
- 配偶者がいる→旦那さん(奥さん)がいるなら生活できるじゃん
- 子どももいる→子どもさんに面倒見てもらえるじゃん
- 誰が呼ぶのか
- どうして呼ぶのか
その辺りを説明する必要性が出てきます。
- 持病があり、通院している→日本で検査・通院させたい
- 配偶者がいない→独り身。足腰が弱くなり生活に支障をきたすようになってきた
- 子どもはいない→子どもは日本に生活の基盤があり、面倒見てもらうのは事実上不可能
なんとなくですが、日本に呼び寄せる理由としてはアリかな…とは思えませんか?
コレまた個別具体的な審査なのでAさんは呼び寄せることができたけど、Bさんはダメだったってこともあり得ます。
呼ぶ側に経費支弁能力はあるか
経費支弁能力=扶養能力
呼び寄せの代理人は息子(娘)さんになることが多いかと思いますが、扶養者であるお子さんが財政的基盤がないと難しくなります。
一緒に生活するってことは、ひとり分の生活費が上乗せされるわけなので、その分の支出が増えますよね。
「金はあまりないけど、なんとなるよ。」
「母ちゃんがひとり増えたぐらい、なんてことねーって。」
それじゃ、なんとかなる理由を文書で説明しましょう。
合理的な理由があれば、審査が通るかもしれません。
がんばりましょう(苦笑)
それは冗談で、やはり事前に十分な説明をしておくべき(追加書類を求められる可能性高し。その分審査が遅れます)
一例…
- 扶養者等の所得証明書や在籍証明書で継続的に賃金を得ているよ!
- 預金通帳の写しで資産があるよ!
- 登記事項証明書から土地や建物は自己所有なんだよ!(家賃は不要!住宅ローンはあるけど…)
- 周りの人たちからサポートを受けられることの上申書(その方たちの所得証明書等も含む)
コレらを複数組み合わせることにより、金銭的な心配はなく、生活も安定的に送ることを立証していくことが大切なのではないでしょうか。
実際の手続方法は?
まず、
在留資格認定証明書交付申請では呼べません。
通常、外国人の方を呼び寄せる手続きとして、在留資格認定証明書を手に入れることが手っ取り早いですよね。
これは先に日本で審査をしているので、その後の手続が大幅に短縮となり、在留資格認定証明書を在外公館(日本の大使館や領事館)でビザ(査証)申請すればイイ。
在留資格認定証明書があれば絶対日本に来られるワケではないので、そこはご注意ください。
現地でしかわからない問題や瑕疵があれば、ビザ(査証)の不発給も当然あり得ます。
話がそれましたが、何で在留資格認定証明書が使えないのか?
なぜなら「告示外特定活動」だから
専門家でない限り、
どーでもイイ話になりますが、以下ご参照ください。
※「入国在留審査要領」より
告示外特定活動(特定活動に係る告示に定められていないが、過去に法務大臣が個々の外国人について特に指定することを認めた活動であって、今後も同様の活動に対し指定することが適当と認められるもの)
これが告示外特定活動を言わんとするところ。
わからなくても大丈夫です(笑)
端的にまとめると…
- 活動が指定されている→告示特定活動→在留資格認定証明書交付申請
- 活動が指定されてない→告示外特定活動→在留資格変更許可申請
在留資格変更許可申請?変更??
順番としては、
「短期滞在」ビザで日本に入国してから「特定活動」に在留資格変更許可申請になります。
被扶養者である老親の面倒を見ることができる資力を立証する必要性もありますし、申請したからといって必ず許可になるとは限りません。
まとめ
二段階での申請ってことです。
在留資格「特定活動」該当性の確認、立証できるだけの資料の準備、短期滞在ビザの書類作成も含めての準備、在留資格変更許可申請…。
短期滞在ビザで引っかかる可能性もあるので、そうなるとまた時間を置くことにもなり、結果として呼び寄せに時間がかかることも考えられますから。
人道的な配慮により在留資格が付与される側面があるので、申請人や扶養者の状況により結果は変わるでしょう。
まずは専門家に相談ですね。
当事務所でもご相談を承ります。
行政書士さくま事務所
022-398-4673